パートタイマー等の年次有給休暇の付与日数について

ときどきあるご相談として、パートタイマーやアルバイトで雇用契約書に所定労働日数の定めがないので年次有給休暇の付与日数の算定をどうやって計算したらいいか?というものがあります。

法令ではいわゆる正社員(フルタイム労働者)以外の年次有給休暇の付与日数の計算方法に比例付与という計算が定められています。

(比例付与 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

この比例付与の計算方法は、週所定労働日数週4日以下かつ週30時間未満の方が対象で、そのような方は「週所定労働日数または1年間の所定労働日数」を基準として、年次有給休暇の付与日数を計算してください、というルールです。

このルールのもとに計算をすればいいのですが、雇用契約書にそもそも所定労働日の記載がない場合はどうしたらいいのか?というご相談です。

そもそも労働条件として定めなければいけない事項として法令では以下が規定されています。

(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(5)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
(労働基準法施行規則第5条第1項にて規定)

上記には労働日の定めがないものの(4)に休日があるため、雇用契約書に所定労働日の明示がない場合はこの休日から逆算して所定労働日が定まります。

ただしこの休日の記載方法には例えば「週休2日」という明確な記載から「シフトにより決定する」という、どの程度休日が確定しているか不明確な記載方法まで様々です。

2026年5月現在の労働基準法では、休日に関する制限は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません、とされています。

(労働時間と休日 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html

そのため休日数が労働契約上、不確定であることも多々あり、結果として冒頭のようなパートタイマー等の年次有給休暇の付与日数について、どう決めたらいいか分からない、ということになるのですね。

以上の様な状況の場合は、法令上の明文規定はないため、合理的な方法として基準日(年次有給休暇の付与日)の前1年間の「実労働日数+休暇日数」にて付与日数を計算することをお勧めしています。

法令上規定がない以上、合理的な計算方法で労働者の納得感も担保するという意味で、上記の様に算定するのが最も妥当だと考えるからです。

なお上述の休暇日数というのは、「本来労働日だったけど、年次有給休暇や慶弔休暇等の特別休暇で労働を免除された日」です。

そこから更に突っ込んで、基準日前1年間に休職(休業)期間があった場合はどうしたらいいか?というご相談もあります。

この場合、業務上災害や産休育休など労働基準法で出勤したものとみなす期間以外は、欠勤したとして算定します。

では、私傷病で欠勤した場合、そもそも何日欠勤したと計算したらいいの?という次の質問に対しては、

  • 休職期間にシフトを組んでいた場合は、そのシフトの所定労働日数をもとに計算
  • そうでなければ直近の休職前の一定期間をもとにその平均値を用いる

というのが妥当な計算方法です。

なお上記の計算方法については、就業規則に規定することで労働条件の一部となります。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 所定労働日数が使用者によって一方的に決定する様な場合は、上記の計算方法自体も無効になるリスクがある
  • 雇用契約書には、例えば週20時間以上25時間未満と記載しており、事実上1日を5時間に固定している場合は、週所定4日以上5日未満の区分で計算する方が妥当である(実態として週4日未満の勤務でも、契約上の所定の方を優先。あくまで法令上は「所定=契約上の約束」が優先だから)

以上、ご参考になれば幸いです。